こんなあなたは「遺言書」が必要

「争族」予防の遺言書

「揉める争族」を「幸せ相続」にしてあげる事が、家族に対する最後の「想いやり」です。
そのためには、あなたの最後のメッセージとなる遺言書の存在が欠かせません。
愛する人のために、今、遺言書を考えましょう。

「私には遺産なんてあまりないから相続争いの心配なんてない」と思っていらっしゃる方は多いかもしれません。 しかし、実際に裁判所で紛争になっている事件のうちの7割以上が、遺産総額が5,000万円以下の事例であり、遺産総額が1,000万円以下の事例だけでも3割以上の割合を占めています(裁判所平成23年度司法統計より)。
実際に裁判所での紛争には至らなかったものの、相続の際に親族間で揉めてしまい、その後に遺恨を残してしまったということは身の回りでもよくある話です。今や「相続争いはお金持ちだけ!」という時代ではないという事です。
このような紛争事例の多くは、相続に関するルールを定めている現在の民法には、遺産承継に関しての画一的な最低限のルールしか定められておらず、個々の状況に応じた具体的な承継方法は相続人間の話し合い(遺産分割協議)で決めなければならない事に起因しています。
故人の意思が存在しない相続では、相続人に多大なストレスと時間がかかり、最終的には「争族」になってしまう危険性が高まります。 生前の意識がはっきりとしているうちに、あなたの「想い」を「遺言書」という形にして明確にしておけば、「争族」を事前に予防する事ができます。 それは、遺言書の法的な効力の強さもさることながら、多くの遺族は遺言に対する多少の不満はあるにせよ「故人の想いがあれば、それに従おう」という心理状態になるのが通常だからです。 以下、「争族」予防のために、特にどのような場合に遺言書の必要性があるのかをご紹介致します。

子がいない夫婦の場合
子がいない夫婦で夫が亡くなった場合、当然に全財産を妻が相続すると思っている方は意外に多いのではないでしょうか。 民法では、この場合において妻以外に夫の両親又は夫の兄弟姉妹にも相続する権利があると定められています。 ほとんどの場合では夫の両親は既に亡くなっている事が多いので、通常は妻と夫の兄弟姉妹が相続人になるでしょう。

これらの相続人同士で揉めることなく遺産分割の話し合いをするのは極めて困難です。 遺言書を残しておけば、愛する奥さんにこのような重い負担をかけることなく全財産を相続させる事が可能です。
お世話になった人がいる場合
生前に懸命に自分の療養看護をしてくれた人や自分が経営していた会社に多大な貢献してくれた人等にいくらかの財産を残したいと考えるのは人間として当然の「想い」だと思います。 しかし、その人が民法で定められた法定相続人でなければ、どんなにあなたが財産を残したいと思っていても、遺言書が無ければ一切の財産を残すことができません。

相続人以外の大切な人に少しでも財産を残してあげたいと想うのであれば遺言書を書いておく必要があります。 なお、その際には自分たちの相続分が減る法定相続人に対する配慮も忘れてはいけません。相続人以外の方に財産を残した真意も遺言書に書いておく事をオススメします。
内縁の妻がいる場合
民法では内縁の妻(結婚はしていないが実質上婚姻関係にあった人)には財産を相続する権利が認められておりません。 生前に最期まで自分の面倒を見てくれた内縁の妻には一切の財産が承継されずに、全財産が疎遠になっていた兄弟達に相続されてしまう事にもなりかねません。 遺言書を書く事により、愛する人に将来の生活基盤となる財産を残す事ができます。
子の相続持分を変えたい場合
「均分相続」を原則とする民法では、子供達は平等の割合で財産を相続する権利が認められています。 しかし、子供の中にいわゆる「放蕩息子」がいれば、他の子供達と同じ割合で財産を残したくないと思う事もあるでしょう。 そのような場合も遺言書で法定相続分とは違う割合を定める事が可能です。 但し、民法には兄弟姉妹以外の法定相続人が自分の最低限の相続権を確保する事ができる「遺留分」という制度が定められているので、遺言書を書く際にはこの「遺留分」も考慮する必要があります。 何らの対策も講じないで、特定の子供に一切の財産を残さない内容の遺言書を書いてしまうと、「遺留分」が原因で相続人同士の骨肉の争いになってしまう危険性があります。 このような場合は事前に専門家にご相談のうえ、遺言書を書かれる事をオススメします。
相続人が一人もいない場合
相続人が一人もいない場合は、相続財産管理人が選任された後、特段の事情が無ければすべての財産が国に帰属する事になります。 このような場合に遺言書を書く事により、生前にお世話になった老人ホームや介護施設に財産を寄付したり、支援したい福祉団体、宗教法人等の特定の団体や法人に財産を寄付したりする事も可能です。

また、自分が亡くなった後は相続財産を自分の関心のある特定の分野の活動に使ってほしいという方は、遺言書に一定の事項を記載しておく事により、自分が定めた目的を達成するための「財団法人」を設立する事が可能です。 このような場合は遺言書で財団法人の設立業務を執行してもらう遺言執行者を定めておく必要があります。
財産の中に不動産がある場合
例え遺言書を書かなかったとしても、財産が預貯金・有価証券など民法の相続分通りに分け合うことが可能なものだけであれば、相続人同士で揉めなくても済む場合もあるでしょう。 しかし、財産の中に不動産があれば話は変わってきます。 生前に同居していた長男はそのままその家に住み続けたいと考えていても、次男はその家を売却して売却代金をみんなで分けたいと考えていれば「争族」になってしまうリスクは非常に高いです。

このように相続分割合に関しては揉めないとしても、財産の分割方法に関して揉めてしまう事は実際のケースでもよくある事です。 不動産は日本における相続財産のうちの5割以上を占める重要な財産ではありますが、遺言書の無い相続においては、相続人間の話し合いがまとまらずに宙に浮いた状態が続いてしまうと、維持費だけがかかるマイナス財産になってしまいます。 不動産をお持ちの方は、遺言書により財産の分割方法を指定しておく事が必要です。
相続人が兄弟姉妹だけの場合
配偶者や直系卑属(子又は孫)がいない方で直系尊属(父母、養親又は祖父母)がすでに亡くなっている場合には、相続人は兄弟姉妹のみとなります。 これも「争族」のリスクが非常に高いケースです。 なぜなら、多くの場合で関係が疎遠になっているからです。

さらに相続発生時に相続人である兄弟姉妹が既に亡くなっている場合はその子供達が相続人となるので、さらに疎遠な関係の相続人同士で相続財産の分割についての話し合いをしなければなりません。 このような場合は最も遺言書が必要な場合と言う事ができます。
先妻のとの間に子がいる場合
先妻との間に子供がいる場合は、その子供も後妻や後妻との間の子供と同じく法定相続人となります。 その場合の本人の「想い」としては、
・「後妻と後妻との間の子供に多くの財産を残したい。」
・「一定の財産を先妻との間の子供にも残してあげたい。」
・「法定相続分で分けてもらえればいい。」
と様々あると思います。
いずれにせよ相続発生時に遺言書が無ければ、その者同士で遺産分割に関する話し合いをしなければならなくなります。 はたして、そのような話し合いが揉める事なく穏便にまとまるでしょうか。 このような場合も、ご自身にとって大切な人同士の揉め事を起こさせないために遺言書を書いておくべきでしょう。
意外と大事な「付言事項」
紹介例はあくまで遺言書の必要性が高い相続の一例であり、その他の場合であっても、事情により遺言書の必要性が高い相続は多く存在します。 どのような場合であるにせよ、大切な人にしっかりと財産を残したいのであれば、一度はご自身の相続においての「遺言書の必要性」を検討していただきたいと思います。

また、遺言書で財産の分配方法を決めておけば、財産は「想い」通りに分配させる事ができるかもしれませんが、確実に「争族」にならないとは言い切れません。 多くの財産を残せない相続人がいる場合には、その相続人には、遺言書を書いた真意や生前の相続人に対する感謝の気持ちを伝えてあげる事も重要となってきます。 それは、最終的に相続人の心を動かすのは、故人に対する「感情」だからです。

遺言書には、「付言事項」という相続人に対する最後のメッセージを書き記す事ができる項目があります。 相続人全員が満足できる財産を残す事は不可能であり、相続人間で相続分に差が出てしまうのは仕方のない事です。 「幸せ相続」のためには、多くの財産を残す事ができない相続人に対しては、この「付言事項」を通して、故人の感情面の「想い」を理解してもらう配慮が必要となります